組織開発や人材育成に読んでおくといい成人発達理論の本は?と尋ねられたので、、、
公開日:
行動探求・メンタルモデル, 成長・発達, 学習する組織, 気になる本
絶版になっていたケン・ウィルバーの「万物の理論 / A THEORY OF EVERYTHING」が、JMAM(日本能率協会マネジメントセンター)さんから翻訳も新しくなって「インテグラル理論」として6月に新たに出版されました
そして、先日、このインテグラル理論のアクティブ・ブック・ダイアローグがあって私も学びを深めたいと思って行ってきました
「インテグラル理論」のABDのとき尋ねられたこと
その時、友人のひとりが参加していました
その友人は、昨年、長年勤めた会社を退職されその時の経験や学んできたことなども活かして、組織開発や人材育成など企業や社員さんの成長や発達の支援に関わる仕事をしてます
いろいろ学ばれていますが、成人発達理論が自分が今やっている仕事にも役立つのではないかと思って今回も参加されたみたいでした
そして、私が学習する組織を創ろうとずっと取り組んでいることも知っています
→ 学習する組織に向けて活用する3種類のテクノロジーと成人発達理論の勉強
それで、こんなことを尋ねられたのです
それは、、、
「(成人の)発達理論を勉強しようと思ったら、どんな本を読んだらいい?おすすめを教えて!」
実は、こういう質問は、これまでもときどきされたことがあります
だったら、ブログに私のオススメの本とその理由を書いておいて、そちらを見てもらうようにしたらいいんじゃないか?と思ったのです
で、このブログに私がおすすめする成人発達理論の本をまとめて紹介することにしました
成人発達理論を学ぶことになった理由
ただ、前提として、つぎのことがあります
わたしは、リーマンショックがきっかけで、それまでの私が知っていて活用していたマーケティングでは上手く行かない世の中になったと感じました
それで、あらたな手法をさがす(当時は手法ややり方を探していたのです)中で、出会ったのがピーター・センゲが提唱する「学習する組織」という考え方でした
それに取り組む中で、3年前、成人発達理論の大家のひとりビル・トルバート博士の「行動探求(Action Inquiry)」が学習する組織を創る早道であると知りました
それで、行動探求という本を読むと同時に佐島マリーナで開催されたビル・トルバート博士のワークショップにも参加しました
3年前のビル・トルバート博士のワークショップの話はコチラ
→ ビル・トルバート博士の行動探求(Action Inquiry)ワークショップに行って来ました!
そのとき、初めて成人発達理論を知り、さらに、これまで学んで学習する組織を創るために使ってきたコーチングやその他のものが、発達理論の側面から説明できることに気づき、成発達理論にも取り組むようになりました
てっちゃんがオススメする成人発達理論の本
こういう経緯があって、今の私は、学習する組織をつくるということは、社員さんひとりひとりの成長と発達が生じ、これが組織の文化を成長発達させ、また、組織が成長発達するとそこに属する社員さんは成長と発達が促されるという相互作用的な個人と組織が発達が起こるというように理解しているのです
こういったことを踏まえて私が、組織に属する人の成長発達をサポートしよう!見守ろう!と思う方に役に立つと思う本をご紹介します
「なぜ部下とうまくいかないのか」(加藤洋平 著)
一番最初にオススメしたいのが「なぜ部下とうまくいかないのか」(加藤洋平 著)です
成人発達理論が、部下の育成に悩む上司の葛藤とかかわりが物語で読めると同時に、適宜、発達段階の特徴や解説が入り、成人の5つの発達段階もまとめられていて、読みやすくて分かりやすいと思います
この本を読んだとき、書籍に登場する成人の5つの発達段階とか、発達理論の用語を簡単にまとめておいたのでよかったら参考にどうぞ!
→ 成人の発達理論を知りたい!「なぜ部下とうまくいかないのか」(加藤洋平 著)を読みました!
その上で、次の3冊が参考になると思います
その3冊とは
・「成人発達理論による能力の成長」(加藤洋平 著)
・「なぜ弱さを見せあえる組織が強いのか」(ロバート・キーガン、リサ・ラスコウ・レイヒー 著)
・「ティール組織」(フレデリック・ラルー 著)
です
「成人発達理論による能力の成長」(加藤洋平 著)
「成人発達理論による能力の成長」(加藤洋平 著)はカート・フィッシャーのダイナミックスキル理論を分かりやすく解説された本で、発達を支援するときに気をつけることや徴候がよくわかります
「なぜ弱さを見せあえる組織が強いのか」(ロバート・キーガン、リサ・ラスコウ・レイヒー 著)
「なぜ弱さを見せあえる組織が強いのか」(ロバート・キーガン、リサ・ラスコウ・レイヒー 著)は、組織において社員さんの成長発達を支援しようとする場合、自律的な組織を目指すことが多いと多いと思いますが、そういった組織は、どういう特徴があり、何があるとそれが可能になるのか?ということが事例を引きながら展開し説明されるので、組織の発達を目的や目標にされている方には必須の書籍化と思います
この本を読んだときに概要と気づいたことをまとめてあるのでよかったらコチラも参考に!
→「なぜ弱さを見せあえる組織が強いのか」(ロバート・キーガン、リサ・ラスコウ・レイヒー 著)から気づいたことと決めたこと
「ティール組織」(フレデリック・ラルー 著)
昨年(2018年)、大変に話題になった本で「ティール組織」(フレデリック・ラルー 著)も欠かせない1冊です
ティール段階という高次の発達段階の組織のことがいろいろと書かれているのでですが、初めの方の章では、成人の発達段階のことが分かりやすくまとめられています
この成人の発達段階がある程度理解できないと、高次の発達段階の組織?っていわれてもチンプンカンプンになるので初めに説明されているのだろうと思いますが、これがわかりやすいのです
もちろん、主体であるティール組織に関する部分は、組織の成長発達、人材の育成成長発達と密接に関係するのでとても参考になるのは言うまでもありません
「インテグラル理論」(ケン・ウィルバー 著)
ティール組織を読まれた後で、先月発売になった「インテグラル理論」(ケン・ウィルバー 著)を読むと頭に入って気安いし、整理されるのではないかと思います
「行動探求」(ビル・トルバート 著)
そして、私が成人発達理論というものを知り、興味をもつきっかけになった「行動探求」(ビル・トルバート 著)もおすすめです
実際、われわれの店では、この中で紹介されている「学習経路の6グリッド(難しい会話のマトリックス)」というのを活用していて、とても有効性を感じています
「自我の発達:包容力を増してゆく9つの段階」(スザンヌ・クック・グロイター)
「行動探求」と同時に、「自我の発達:包容力を増してゆく9つの段階」(スザンヌ・クック・グロイター)を読むと発達段階の特徴がより深く理解されます
私の感想ですが、初め、行動探求を読んだ時にそこに紹介されているいくつかの発達段階における特徴が掴みきれませんでした
そのひとつの理由に、そこでの訳の中で日本語的にイメージが湧きにくかったものがあるのです
それが、「自我の発達:包容力を増してゆく9つの段階」を読んだ時、「あぁー、そういうことか!」って理解できました
行動探求では、その発達段階を測定するのにスザンヌ・クック・グロイターの「文章完成テスト」を使っていることもあるし、ともに研究や探求している部分も多いと聞くので、そのこともあって相性がとりわけいいのではないかと思います
さて、この「自我の発達:包容力を増してゆく9つの段階」は書籍ではなく論文の翻訳で、インテグラル理論の翻訳者である門林奨さんのサイトからダウンロードできます
→ スザンヌ・クック=グロイターの自我発達理論(論文全訳)
「発達理論の学び舎」(加藤洋平さんのサイト)
それから、先に紹介した2冊(なぜ部下とうまくいかないのか、成人発達理論による能力の成長)の著者である加藤洋平さんのサイトには、発達理論を学べるビデオ教材があります
私もこちらにあるいくつかのビデオ教材で学びましたが、ビデオとテキスト(PDFファイル)が揃っていてわかりやすいのでおすすめです
ちなみに、私は、「発達理論実践講座」と「発達段階測定講座」をビデオ教材で観て、「成人発達理論による能力の成長」出版記念ゼミナールをオンラインでリアルタイム受講しました
興味がある方は、加藤洋平さんの「発達の学び舎」サイトをご覧下さいね
→「発達の学び舎」ビデオ教材
「組織は変われるか」(加藤雅則 著)
最後に紹介する本は、発達理論の本ではありません
組織開発に関係する「組織は変われるか ~経営トップから始まる『組織開発』~」(加藤雅則 著)です
この本では、著者が数多くの現場で組織開発に関わり、上手く行く事もあればいかないこともある中で、何がその違いをつくっているのか?を問い続け、見出した、実際の現場で組織開発(言い方を変えると個人と組織の発達と言っていいと思います)をするとき、
・何が大切なのか?
・何に注意しないといけないのか?
・何が組織開発の成否を分けるポイントなのか?
などが生々しく書かれています
私のこのブログ記事をここまで読まれた方は、おそらく、コンサルタントやファシリテーター、あるいは、経営者、社内で組織を変えたいと思っている役員さん、部長さん、または一般の社員さんだと思います
どの立場であっても、この加藤雅則さんの「組織は変われるか」を読むことで、今の自分の立ち位置からすると、対象とする組織開発をするに当たって、その時期なのか?何が必要か?などが見えてくると思います
ですので、発達理論関係の本の最後に、この「組織は変われるか」をご紹介したかったのです
最後に
また、今日も、長めのブログ(原稿用紙で10枚分くらい)になってますが、最後まで読んでいただきありがとうございます
今回は、私が読んだ発達理論関係の書籍の中で、自社で「学習する組織をつくる!」という点にフォーカスしたとき、今の私が10年前の私にすすめるに違いない本をご紹介しました
これ以外にも読んだ方がいいとか、役たつ書籍はいろいろあります
それらの本については、また、機会があれば、どういう視点や立場からすすめるのかも明らかにしながらご紹介したいと思います
成人の発達理論に興味をもたれたら、今日ご紹介した本の中から、まず、一冊を手にとって読み始めて下さいね
関連記事
-
宿題図書「なぜあの人の解決策はいつもうまくいくのか?」を読みます
日本一古いおでん屋「たこ梅」の 雑用係 兼 五代目店主 てっちゃんです 昨年の12月から、eu
-
パートスタッフさんと行動探求のベースとなる行動論理、発達段階のレクチャーと対話です
自律的に考えて行動する!って、組織、会社、お店にとって、スタッフさんのひとつの理想的なあり方だと思い
-
スタッフさんが、たこ梅文庫に本を寄贈してくれました!
うちの事務所には、書架が数台並んでいて、現在、500-600冊くらいあります 「たこ梅文庫」
-
チェンジ・エージェント社主催「システム思考実践発表会」でグランプリをいただきました
日本一古いおでん屋「たこ梅」の 雑用係 兼 五代目店主 てっちゃんです たこ梅を私が継いでから
-
「合併企業が思うように一つにならない本当の理由」(中土井僚 著)が届きました!
オットー・シャーマー博士のU理論の翻訳者のおひとりに、中土井僚さんがいらっしゃいます U理論
-
KAIKA Awards 2018「KAIKA賞」をいただきました!
2月20日、「ちょっと、おいで!」と呼ばれたので東京に行ってました KAIKA Awards 20
-
意図に立ったコーチングは、課題を生む構造そのものを変えていました!
一昨日は、1月最初のコーチング、、、 お昼から、連続で、6名のスタッフさんとコーチングでした そ
-
オンラインでの連続8回のNVC基礎講座、第1回を金田さん、深澤さんが受講です!
起きた出来事をきちんと受け取って向き合うためには、まず、自分がその出来事をどのように捉えているのかを
-
「ティール組織」(フレデリック・ラルー 著)を購入!
最近、ホラクラシーという組織が流行ってる(?)というか、話題になっているようです 日本の人事部
-
自然農法から学ぶティール組織開発を日本初のホラクラシー・ワン認定ファシリテーターの吉原史郎さんに話を聞いてきました!
先週、兵庫県伊丹市へ、自然農法とティール組織の話を聞きに行ってきました なんで、自然農法とティール