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「ドラッカーと論語」(安冨歩 著)を読んで気づいた、経営する上で大切なこと

昨年の年末頃に読んでいて、この数年で私にとって一番面白いって思ったのが、「複雑さを生きる~やわらかな制御~」(安冨歩 著)でした

「複雑さを生きる~やわらかな制御~」(安冨歩 著)

「複雑さを生きる~やわらかな制御~」(安冨歩 著)

それで、そのことをこんな風に、ブログに書いたんですね
「複雑さを生きる~やわらかな制御~」(安冨歩 著)、この本、最近で一番面白かった!!

そうしたら、著者の安冨先生からコメントをいただきました
その中で、「経営には、拙著『ドラッカーと論語』がお役に立つかもしれません。」というコメントもいただいていたんです

ドラッカーというと、本はいっぱい持ってるけど、途中で読むのを止めてしまっていたんです
先日、ふと、「じゃあ、一度、安冨先生が薦めてくれはった『ドラッカーと論語』読んでみるかなぁ、、、」と思って読み始めました

目次(もくじ)

今日のブログ原稿用紙にして25枚分を超えるので、ちょっと、目次をつけておきます
興味のあるところだけ、読んで頂くのがいいかなぁ、、、と思います ^^;;;

=====================================

目次(もくじ)

経営する上で大切だと!思ったこと(要約/箇条書き)

「マネジメント(ドラッカー)」と「論語(孔子)」の背景

てっちゃんの「立ち位置」と「いるところ」

「ドラッカーと論語」を読んで気づいたこと、感じたこと
・「フィードバック」と「学習回路の開いた『仁』のサイクル」
・「マーケティング」の意味
・「イノベーション」の意味
├─ 出来事の構造を変えるための方法
└─  意識・無意識の前提を変える方法
・マネジメント=マーケティング+イノベーション

「ドラッカーと論語」の私にとっての意味
・リーマンショック後、学習する組織を創ろう!とやってきたこと
├─ 会議から組織を変える「会議ファシリテーション」の導入
├─ サーバントリーダーシップからコーチングへ!
└─ 「行動探求(Action Inquiry)」で学習する組織へ!
・「ドラッカーと論語」を軸に、これまでの取り組みを俯瞰

=====================================

 

経営する上で大切だと!思ったこと(要約/箇条書き)

まず、「ドラッカーと論語」を読む中で、私が、「経営する上で、これが、大事ちゃうん!」って、感じたこと、思ったこと、気づいたことを書いておきます
というのも、なんで、そう思ったのか?それって、どういう意味の関連づけが行われているのか?なんてことをツラツラかいてたら、原稿用紙20枚以上になってしまいました、、、

ですので、私が気づいた「経営する上で大切なこと」を読まれて、もーーーーーし、それって、どういうこと?とか気になったら、続きを読んでくださいね、、、とにかく、長いから、、、^^;;;

【「ドラッカーと論語」を読む中で『経営する上で大切』と思ったこと】

・マネジメントするためには、まず、自分たちが何者かを知ること
・学習回路を開き、初心で向き合うこと
・マーケティングとは、お客さまと相互にコミュニケーションを取り「知る」「知ってもらう」こと
・イノベーションの本質は、出来事、行動パターンの奥にある構造・メンタルモデルを一変させるということ
・マネジメントとは、マーケティングとイノベーションを起こし続けること
・各々の学習は、人と人・出来事との相互の関係の中で起こるため、2次、3次ループの学習が起こりやすい環境を整えること
・正しい「問い」を立てること

・テキストから学ぶとき、それの書かれた背景、願いに意識をむけること

ここからあとは、こんなことを気づいたんですが、そのうちいくつかのことをつらつらと書いていきます
かなり長い!ので、別に読まなくていいですよーーーーーー
時間と心に余裕のあるときにでも、どうぞ!!(^o^)v

「マネジメント(ドラッカー)」と「論語(孔子)」の生まれた背景

わたし、この本「ドラッカーと論語」を読むまで、あることを勘違いしてました
表紙の帯に「東西の知の巨人、二五〇〇年越しの対話」ってあるので、ドラッカーと孔子が、会社や国家の「経営」について文字通り対話する仕立ての本だと勝手に思ってました ^^;;;

それは、まぁ、おいといて、、、
実際は、ドラッカーの名著であり大著である「マネジメント」を論語の一文一文を横に並べて、紐解いていく感じです

ドラッカーと論語(安冨歩 著)

ドラッカーと論語(安冨歩 著)

どうして、マネジメントを読み解くのに論語なのか?
そこには、ドラッカーがマネジメントを記し、孔子が論語を語らざるを得なかった共通の背景を著者である安冨先生が観ているから、、、
※正確には、論語は、孔子と弟子の対話を後生の誰かがまとめたものです

その部分を抜粋して紹介しますね

産業革命による技術の進歩から、機械化が急速に進められ、軍隊、企業、そして国家という世の中のありとあらえるものが、「組織」となっていく。そのような時代の大きな流れのなかで、どうすれば組織を適切に運営していくことができるのかという問いから生まれたのが「マネジメント」の思想である。(中略)

この時代(春秋戦国期)の中国は、地域、地域に成立する小規模な都市国家たる「国」というものから、中華世界の全体を覆い尽くす巨大な「帝国」が形成されていく数世紀にわたる巨大な変革期にあった。(中略)大国の人民は王の顔など見たこともなく、巨大な官僚組織や軍隊によって間接的に統治されていた。つまりこの時、中華世界の人々は史上初めて、「組織」というものの運営を求められたのである。(中略)どうすれば顔の見えない君主に人民は従うのか。そもそも、君主とはいったい何なのかー。そんな問いかけのもとで、「組織」の適切な運営方法が求められ、多種多様な思想が生まれていった。そのなかで孔子は、それを「政」と呼んだ。その思想をまとめたものが『論語』なのである。

ドラッカーも、孔子も、新しい「組織」の時代にその「組織」を運営していったらいいのか?
そもそも、何のために、組織を運営するのか?そのために真に必要なものは何なのか?を問い続ける中で、マネジメント、論語が生まれてきたと(たぶん)書かれています
※注)これまでも、ここからもそうですが、基本、このブログでの記述は、あくまで、今現在のわたし(てっちゃん)の解釈、フィルターをとおしているので、違ってたら、安冨先生ゴメンナサイ、、、みなさんも、自分で読んでみるのが確実だと思います(^o^)

もうひとつ、この本を読んでいて、重要だなと感じた背景があります
それは、ドラッカーの時代は、ナチスドイツに代表されるファシズムが猛威を振るう時期であり、孔子の時代は、秦の始皇帝に代表される覇道へ突き進む時代です
ドラッカーは、ファシズムのような全体主義から「人」が守られるためには、何が大切なのか?
孔子は、覇道ではなく王道で、「人」が守られるには、何が大切なのか?
これを各々が命題として抱いていたことも、両者の共通の背景です

論語は、国家の長たる君主はもちろん、そこを動かす官僚だけでなく、人と人が関わる、交わる中における人の在り方、「君子」たるを問うものです
マネジメントは、単に経営者がいかに経営するか?のためでなく、その本質は、経営者やマネージャーのみならず、人は、どうあるべきか?を問うものであると本の中で語られています
国家にせよ、会社にせよ、それを構成し、動かすのは、その中にいる人なんですから、、、
これも、共通の背景でしょうね

ドラッカーと孔子の、これら3つの共通の背景、まとめると、
・新しい「組織」の時代
・人が守られる
・(組織上)上に立つ者の人としての在り方
があるので、論語をサブテキストに、「マネジメント」の本質を伝えよう!ということを試みている著作が「ドラッカーと論語」と言えると思います

今の私(てっちゃん)の「立ち位置」と「いるところ」

「ドラッカーと論語」について、書く前に、ちょっと、わたし(てっちゃん)の今の立ち位置と、どんな処にいるのかを書いておきますね
というのも、これから書くことは、今の私が見えている範疇で書くので、これが、正しいわけでもなければ、すべてでもないからです
いい方を変えると少なくとも、次のような人物のフィルターを通して書いているということです

この本を読むにあたっての私は、
・たこ梅の五代目店主
・有限会社 たこ梅の経営者
であると同時に、やってることは、いわゆる経営というよりも、
・私が探究し進む中で、教え、見せ、そして、成長を見守る
ことが、より大きなウェイトを占めています

こういう処に立って、「ドラッカーと論語」を読んでいます
そして、この「ドラッカーと論語」で気づいたことを「実際の経営の中で生かすには、どうすればいいか?」ということを考えながら読んでいます
そのひとつの方法として、これまでに私が学んできた考え方やフレームなどを使ったり、組み合わせて、実践の場で活用しようと考えています
そんなことも含めて、ここから書いていきます

「ドラッカーと論語」を読んで気づいたこと、感じたこと

さて、本の詳しい内容や抄訳は、書評の専門家にゆずるとして、「ドラッカーと論語」の背景を踏まえた上で、てっちゃんの今の立ち位置を明らかにしたところで、私が、気づいこと、感じたことなど、つらつらと書いていこうと思います

「フィードバック」と「学習回路の開いた『仁』のサイクル」

論語の有名な一節に「學而時習之。不亦説乎。」があり、一般的には「学びて時にこれを習う。また、よろこばしからずや。」と読み下して「復習は大事だね!」と解釈されています
一方、安冨先生は、他の論語の「習」の使われ方の研究から、このように解釈されています
・何かを学び、それがある時、自分自身のものになる。よろこばしいことではないか。
・かつて取り入れた古い「学んだこと」が鍛錬の末、新しい自分を育む。
これは、普段の生活や仕事のなかでの出来事からフィードバックされる学びという鍛錬が、成長には欠かせないということです
さらに、この「學而時習之」と、他の論語の箇所から、論語の中心概念である『仁』、そして、その体現者である『君子』をこのように考えられています
・学習回路を開いている状態が「仁」であり、仁たりうる者を「君子」と呼ぶ。

「マネジメント」のなかには、「意思決定以上に、重役の仕事のなかに学習の継続を組み込むことが重要である領野はない。それは、決定を下した時に抱いた期待が、その結果からフィードバックされる、という形で実装される。」という箇所があります。
先ほどの、論語の解釈とあわせると、
ドラッカーは、経営者、重役、マネージャーにとって、
・仕事からのフィードバックが大切
・そのフィードバックにおいては、学習回路が開いた「仁」のサイクルが必要
となると著書のなかにあります

これを見たとき、学習する組織との関係を考えていました
たこ梅は、リーマンショックを期に、順調であったお店の売上と利益は、ダダ下がり、、、
「どうしたらええねん、、、」という中で、ピーター・センゲの「学習する組織」を読んで、「これやったら、うち、百年後もある!」と思ったんです
それで、単純に「よし!学習する組織にするぞ!!」って思い、平成22年4月から学習する組織を創ろうと取り組んでいます
その学習する組織の中では、起こった出来事から学ぶにあたって、それをなんとかする!だけでなく、その全体を俯瞰して、それを引き起こす、生じせしめる構造自体を変革するという学習をする「ダブルループ学習(2次ループのフィードバック)」があります

1次、2次、3次ループのフィードバック学習

1次、2次、3次ループのフィードバック学習
チェンジ・エージェント社さんのサイトより拝借)

さらには、構造を生み出す意図やビジョンに立ち返って変革を学習する「トリプルループ学習(3次ループのフィードバック)」があります
また、学習する組織では、自分の概念やフレームを形作るメンタルモデル(世の中のを見るときにかけてるその人固有のフィルターとかメガネみたいなものかな?)を観る!ことをします
これが出来るためには、「仁」であることなのですが、これが、なかなか難しい、、、
もうちょっと平たくいうと、「仁」である状態のひとつの側面には、「初心で向き合う」ことがあるように思います
そうすれば、素直に、気づけるだろうし、フォードバックされたことも受け取り易いと思うのです
そして、ダブルループ学習、トリプルループ学習とメンタルモデルを丁寧に扱っていくことが、学習回路が開いた「仁」のサイクルを実際に回すことを実現していく、手段のひとつではないだろうか? と考えています

「マーケティング」の意味

マーケティングというと市場調査や市場分析、イノベーションというと技術革新って思ってました
というか、そのように教えられてきました
ただ、「マネジメント」の中で語られるマーケティング、イノベーションは、そういうものではないようです

論語では、
・「知っている」ことを「知っている」とし、「知らない」ことを「知らない」ということが『知っている』ということである
という一説があります
ここから、著書の中で、「己知己→己知人→人知己」ということが導き出されるとしています
(まず自分が自分を知る。それによって、自分が他人を理解する。そうすれば他人が自分を理解してくれる)

とすると、マーケティングで市場を知るためには、そもそも、自分のことを知らないといけない!自分の会社が何をなすのか?という本質的な目的を知ってないといけない(=己知己/自分のことを知る)ことになります

そして、人は、人と人との関係性の中に自己が存在します
その存在の基盤を考えたときにあるのが「信頼」です
お金なんていうのもそうで、お互いにお札に価値がある!ので、物とお金の交換が成り立つんですよね
ある程度の信頼がないと、町の中も歩けません、、、だって、殺される、襲われるのが当然の町では出歩けませんものね

これらを含めて考えると、信頼というコミュニケーションをもって、「己を知る」作業を絶え間なく続ける中において、顧客とつながる双方向のやりとりがマーケティングの本質となります

これって、お客さんのことを知る!ために、数字を見るだけじゃなく、数字はお客さんたち(集団)の活動の総体を外面から観察したものですよね?それ以外に、その内面、お客さんたちという集団の文化や習慣も知らないといけない!
さらには、お客さん、ひとりひとりの個人がどうであるのか?というレベルまで見て、話を聞く!というコミュニケーション作業が必要になることを意味しているのではないでしょうか?
お客さまのことを知るのに、外面と内面、個人と集団の2×2の4つの象限で見ていくという方法も有効ではないかと思います
ちなみに、この4つの象限については、私が考えたんじゃなくて、ケン・ウィルバーの本に書いてありました!(^o^)v

「イノベーション」の意味

イノベーションが、先に述べたとおり単なる技術の進歩や革新でないなら何なのか?
通常言われる技術革新より、遙かに広範な影響を与える深い意味を伴うもののようです

マネジメントから、このような箇所が引用されていました
イノベーションは、これらの例が示すように、技術的である必要もなければ、「もの」である必要さえまったくない。新聞や保険といったものを生み出した、社会的イノベーションに匹敵する影響力をもつ、技術的イノベーションはほとんどない。

「紙」の発明は確かにたいしたものではあるけれども、「新聞」という媒体の発明こそがイノベーションだといっているのです
確かに紙は便利ですが、不便ではあっても、羊皮紙や竹簡など、文字を記述する物はありました
そういう意味で行くと、紙は、その延長線上です
しかし、その「紙」が「新聞」という媒体となると、その意味合いはまったく変わりますよね
こういったことが、イノベーションである!といっているらしい、、、

このとき、私が思い浮かんだのは、コンピューターは確かにすごい発明だけど、それは、そろばんや筆算、計算尺をつかっていた計算を恐ろしく高速で行うのであって、計算能力を飛躍させただけ、、、とも言えます
ところが、このコンピューターがネットワークで結ばれたとき、、、
確かに、世界は変わりました!
これが、イノベーションなのだろうと思います

だから、イノベーションには何らかのハードの進展も必要な場合が多いですが、イノベーション本質は、この世にまったく新しい『意味』を出現させることではないかと気づいたんです
たこ梅の経営で、世界を変える『意味』を出現させることができるかどうかわかりませんが、目の前の出来事の奥にある『構造』を変えることは可能だし、そういう視点でものを見られるようになることもできると思います

システム思考の氷山モデル

システム思考の氷山モデル
(チェンジ・エージェント社のサイトより拝借)

会社やお店においては、出来事(起きたこと・起きること)の構造を変える、その下の「意識・無意識の前提」を変えることが『イノベーション』につながると今の私は理解しています

ただ、これは、難しい、、、
今の時分が当然に見ていることと、異なる目で見る!ということです
そして、普通は、時分がどんな風に物事を見てるかなんて、まーーーーったく意識もしなきゃ、思いもしないんですから、、、
メガネやコンタクトレンズをしている人は、普段、歩いているとき、本を読んでいるとき、映画を見ているときに、「今私は、メガネ(あるいはコンタクトレンズ)を通して見ているんだ!」なんて意識してないし、できないでしょ? ^^;;;

だから、むずかしい!と思うのです

ただ、どうやったら、これがかのうになるのか?
ちょっと、、、じゃなくて、マジメに考えてみました

出来事の構造を変えるための方法

出来事の下にある構造や意識・無意識の前提を変えるためには、まず、「そうである」ことをとらえられる必要があります
そんな構造をとらえるためには、ひとつは、システム思考を使うことがありえると思います
時系列パターングラフを見て、ループ図(Caousal Loop Diagram)を作成し、複雑な関係を解きほぐして、認知の限界を突破していく方法です

システム思考を学習するのにいい本 学習する組織、なぜあの人の解決策はいつもうまくいくのか?、システム思考

システム思考を学習するのにいい本
学習する組織、なぜあの人の解決策はいつもうまくいくのか?、システム思考

システム思考に興味のある方は、「システム思考」(ジョン・D・スターマン 著)や入門であれば「なぜあの人の解決策はいつもうまくいくのか?」(枝廣純子・小田理一郎 著)という本やチェンジ・エージェント社さんのサイトの「システム思考」ページにいろいろ載ってますので参考にしてくださいね

意識・無意識の前提を変える方法

構造の次に、さらにその奥にある「意識・無意識の前提」というものを変えるにはどうしたらいいか?
これもやっぱり、まず、「そんなのがあったんだ、、、」って気づかないとね!

ひとつは、「内省する力」(内省力)を高めることであり、もうひとつは、フィードバックを受けられるようにすることだと思います

内省力を高めるには、瞑想がいいとか、ヨガがいいとか、リトリートもいいよ!とか、それこそ色んな方法があるんだろうと思います
そして、フィードバックを受けられるようにする方はといえば、相手が、自分自身について「言って」くれること、それを受け取れることですよね
ただ、相手が言いやすい場、何を言っても大丈夫、安心して言うことが出来る「安全な場」が必要となります

そういう場が形成されている会社は、ピーター・センゲが提唱する「学習する組織」に近づいているという見方ができるんでしょうね
そんなリーダーシップを発揮するリーダーは、ロバート・グリーンリーフの言うサーバントリーダーシップを発揮しているともいえるんではないでしょうか?

ただ、書いていて気づいたのですが、内省力をたかめるということは、「マーケティング」のところで出てきた「己を知る」ことにも、当然ながら、つながっています
ドラッカーの言う「マーケティング」と「イノベーション」は、ある種不可分の関係にあるように思います

マネジメント=マーケティング+イノベーション

マーケティング、イノベーションなんですが、これが、マネジメントの両輪で、つねにこれをやり続けること、このサイクルを回し続けることが「マネジメント」なんだそうです

マネジメントの構造

マネジメントの構造
(ドラッカーと論語 P122より)

これは、「ドラッカーと論語」の122ページに図版がのっていて、これを見るとわかりやすいと思います
「己を知る」ことから始まりお客さまという相手とのコミュニケーションを続けるうマーケティング、「改める」ためにフィードバックを通じた継続学習であるイノベーションが常に回り続ける組織であるときに、マネジメントたり得るようです

この図をジーーーーッ!と見ていて、ハッ!と気づいたことがあります

マーケティングの方は、自分自身や相手との関係性をとらえる力が必要です
イノベーションの方は、出来事の奥に潜む構造を見通す力、自分や組織の前提認識やメンタルモデルを外側から観る力が必要です

関係性だったり、構造や前提認識、メンタルモデルなどをとらえる力が強い!というのは、ロバート・キーガンに代表される成人の発達理論で言う「発達段階」が高い人の特徴でもあることに気づきました

もし、これが正しい、、、とすると、「人と組織の発達段階を高めることが、マネジメントが高まることに通じる」のではないでしょうか?
私には、正直、どうなのかわかりませんが、コレ、いけてそうな気がします!!

「ドラッカーと論語」の私にとっての意味

ここまで、このブログを書いてきて、私が、この「ドラッカーと論語」を読むことになったのか、、、
その「私にとっての意味」に気づきました

リーマンショック後、学習する組織を創ろう!とやってきたこと

私は、平成20年9月のリーマンショック後、お店の業績が悪化して、どうしようか悩み、ピーター・センゲ博士の提唱する「学習する組織」を創ろう!って平成22年4月に決めました
そして、それ以来、ずーーーっと取り組んでいます

最初、「学習する組織」を読んだときは「これだ!」って思ったものの、この本の中には、具体的な「学習する組織」の構築の仕方、やり方は、ぜんぜん、書かれていません、、、_| ̄|○
それで、今度は、「どうやったら、学習する組織になるんやろ?いやいや、ソコまでいかんでも、近づけるんやろ?」って、やり方を探し始めました

会議から組織を変える「会議ファシリテーション」の導入

最初に出会ったのが、チーム経営さんという会議から組織を変える!ということを標榜されているところと出会って、「これ、学習する組織のニオイがする!」(どんなニオイなんでしょうね?:笑)と思って取り入れました

8月の現場会議での名言「ブログとFBは仕込みです」

8月の現場会議での名言
「ブログとFBは仕込みです」

今では、なんでも言い合えるような会議に近づいてきています

サーバントリーダーシップからコーチングへ!

その次は、「学習する組織」のリーダーって、「これ、近いんちゃうん?」って、ロバート・グリーンリーフの「サーバントリーダーシップ」を読んだときに思いました

サーバントリーダーシップ(ロバート・K・グリーンリーフ 著)

サーバントリーダーシップ(ロバート・K・グリーンリーフ 著)

こんなリーダーシップに近いのってなんやろ?って見つけたのが「コーチング」です

CTIコーチング「フルフィルメント」コース

CTIコーチング「フルフィルメント」コース

で、CTIさんでコーチングを学びました
いまも、スタッフさんに、毎月、コーチングや面談をしています

新梅田食道街 たこ梅 北店の髙羽さんとコーチングです

新梅田食道街 たこ梅 北店の髙羽さんとコーチングです

このコーチングですが、本質的に何をやっているんだろう?って思ったとき、「コーチングするのは、テーマではなくクライアント」という命題に出会います
その中で、コーチングとは、クライアントさんのもってくる課題や悩み、テーマは大切なものだけど、本当は、そのテーマを入り口に、クライアントさんの物の見え方、とらえ方が変容する!大胆に言うと発達する!ことがコーチングの中で起こり、それによって、新しい自分の立ち位置から、テーマをとらえ直すことで、自ら解決できるようなる側面があることがわかりました

ちなみに、この話は、以前のブログ記事で書いてるので、興味がある方は、コチラを読んでね!
→ コーチングと成人の発達段階のことを考えさせられた「コーアクティブクラス」!!

「行動探求(Action Inquiry)」で学習する組織へ!

また、「学習する組織」の構築には、コレがいい!って「学習する組織」の翻訳者のおひとりでもある小田理一郎さんが、翻訳されて、その著者のセミナーを3月に開催されたので、もちろん、私も参加です!

「行動探求(Action Inquiry)」(ビル・トルバート著)

「行動探求(Action Inquiry)」(ビル・トルバート著)

それが、ビル・トルバート博士の「行動探求(Action Inquiry)」です
これは、個人と組織の発達段階をあげるために、どのようにかかわるか!がテーマで、そうすることで、学習する組織になっていくというものです

ちなみに、いま、この「行動探求(Action Inquiry)」をお店の中で実践していくため、まず、スタッフさんむけに入門編の研修を来年3月に予定しています

行動探求(Action Inquiry)の初級者向けセミナーに話は進展!

行動探求(Action Inquiry)の入門編セミナーに話は進展!

「行動探求(Action Inquiry)」の翻訳者である小田理一郎さんのチェンジ・エージェント社にその研修をお願いして、現在、その設計中です

このチェンジ・エージェント社での入門編セミナー設計の話はコチラのブログを!
→ 行動探求の現場での活用についてチェンジエージェントの小田理一郎さんに相談に行ってきました!

「ドラッカーと論語」を軸に、これまでの取り組みを俯瞰

今回、「ドラッカーと論語」を読み、そのことを自分なりに覚え書きにしておこう!くらいのつもりで、このブログを書き始めました
結果、私は、「ドラッカーと論語」を軸にして、これまで、取り組んできた、今も、取り組んでいる
・学習する組織
・会議ファシリテーション
・コーチング
・発達理論
そして、このブログには書いていませんが、ランチェスター戦略、体験を売る考え方、コト・マーケティング、プロセスワーク、瞑想やヨガなども含め、自分が、自分たちが、何に取り組んできたのか、どのように配置してきたのか、いま、どのように関係づけられているのか、、、などを俯瞰して眺めることが出来ました

さらに、これから先、どちらへ進んでいくのかも見ることができました

この「ドラッカーと論語」を読むことがなければ、自分が取り組んでいる『世界』の全体像、少なくとも、今現在の『全体像』すら明確に「観る」ことをしなかったと思います

>「ドラッカーと論語」&著者の安冨歩先生
ありがとうございます!(^o^)v

ってことで、経営者の方、リーダーの立場にある方、
そして、リーダーシップを発揮したい!って思ってる方、
「ドラッカーと論語」は、オススメですよ!!(^o^)/

 

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Comment

  1. 木元亮佑 より:

    はじめまして。ドラッカーと論語を、そして他のドラッカーの本も読んでいると混乱して、いろいろ調べているとこのページを見つけまして、コメントさせていただいています。
    安富さんはドラッカーはお客様目線になれとは言っておらず誤解されていると。これは社会や顧客とコミュニケーションによってフィードバックと学習をし、自己を知ることで、自ずとそれは顧客を理解することになるということでいいのでしょうか? 
    仏教の縁起のように自分に関係のあるものを定義すると自然とその他が分かるような感覚なのかなと。

    • 木元亮佑さん
      こんにちは
      コメントをありがとうございます
      さて、「安富さんはドラッカーはお客様目線になれとは言っておらず誤解されていると。」とありますが、もう、1年近く前に読んだ本なので、安冨先生がどのあたりで書かれているのか覚えていません
      そのため、どういう文脈でかかれているか、今は、確認できていません
      ですから、おっしゃる文章が本のどの辺りにあるかお知らせいただければ、時間のあるときに改めて見返して、私なりの理解をお伝えすることはできます
      そんな状態ですので、木元さんに満足のいく返答ができるかどうかわかりませんが、今の私の理解で推測を交えて少しだけ書いておきますね
      企業はイノベーションし、そこから生まれたものを顧客に問い、どういう反応なのかを感じ取ることが必要なのだろうと思います
      そうすると、世間で言うようなお客様目線であるのではなく、企業と顧客がインタラクティブな関係を構築し、その中で、成長(というより発達かな?)していくことが重要であろうと思います

      • 木元亮佑 より:

        返信ありがとうございます。ドラッカーの論語のP54に書かれているのですが、その部分だけでなく、全体的に顧客から始まるのではなく、コミュニケーションを介して自己を知ることから始まるというニュアンスかなと感じました。
        たくさん読書されてて、ブログも非常に参考になりました。これからも参考にさせていただきたいと思います。 
        多くの本のドラッカーについて書かれた本が顧客から始まると書かれてて、ちょっと混乱してました。また読み返されたときにお返事いただければ嬉しいです。

        • 木元亮佑さん
          今日、書架の「ドラッカーと論語」を取り出して54ページあたりを読み返しました
          安冨先生は、ここでは、ドラッカーの「企業の目的とは、顧客の創造である。」というフレーズが、「『顧客が何を必要としているのかを考える』という“お客様目線”とはき違えられていることが多いように私は感じる。」と書かれています

          一般的に言って、「顧客が何を必要としているのかを考える」というのは、よく、顧客の声、意見をきいて新しい商品やサービスをつくると考えられることが多いようですが、まず、ここでは、少なくとも顧客が「これがほしい!」と言える顕在化したニーズではなく、潜在ニーズのことを言っていると思われます
          その商品やサービスが誕生したとき、(あるのも知らなかったハズですが)「そうそう、これが欲しかったんだ!」と言うものです

          ただ、これだけではなく、企業の存在目的が関係するのだろうと私は理解しています
          企業が自分の存在意味や目的を探求する中で、顧客の潜在ニーズをみつめるとき、単なる潜在ニーズの商品化ではなく、社会的にインパクトのある、あるいは、何かの延長線上でない非連続な商品やサービスが誕生します
          それは、同時に、社会にとっての新たな意味を持つカテゴリーの出現であったりするのだろうと思います

          私は安冨先生ではないので安冨先生のお考えはわかりませんが、以上ようなことではないかと考えています
          安冨先生の考えで同じでなくても、安冨先生の文章や主張を自分で解釈したり、そこから考えて行くこと、他の人と、それについて意見を交換して対話することこそ意味のある大切なことのように思います

          今回、ドラッカーと論語のほんの一部ですが、木元さんのおかげで、ひさしぶりにふりかえることができました
          ありがとうございます

          • 木元亮佑 より:

            上辺でなく、コミュニケーションを介して、その場に住み込んで、自分の目的やなすべきことを理解することは、同時に顧客の潜在的なニーズを理解することになるんですね。アンケートなどは顧客の満足にはなるかもしれませんが、顧客の創造にはなりませんね。
            わざわざもう一度本を読んでいただいて、回答していただきまして、ありがとうございます。

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創業弘化元年。日本一古いおでん屋と言われるようになりました。 多くの作家や文化人にもご愛顧いただいたお店、鯨のサエズリなどの関東煮、たこの甘露煮、 そして錫の杯で、大切な方と粋な一献いかがですか?










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