不愉快、不都合な出来事が、何を教えたがっているのか?が行動探求のプロセスで紐解かれる
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行動探求・メンタルモデル, 成長・発達
毎月、1回、正社員、ホールのパートスタッフさんと行動探求(Action inquiry / アクション・インクワイアリー)のセッションを行っています
行動探求(アクション・インクワイアリー)とは?
今、そして、起こっていることに意識を向け、いま、感じていること、思っていることが自分のどういう枠組みから解釈しているのか?自分の中のどこを起点として意識を向けているのか?に気付き、瞬間瞬間で出現しようとしているものを取り出せる行動をしてくことが可能になるものだと、現在の私は、行動探求(アクション・インクワイアリー)を理解しています
また、行動探求(アクション・インクワイアリー)のトレーニングを続けることで、自分の枠組み(意識・無意識の前提/メンタルモデル)に気づくようになったり、2次ループ学習、3次ループ学習が可能なる様にもなるでしょうし、視野が広がる、発達段階が上がることにもつながっていきます
くわしいことは、行動探求(ビル・トルバート著)を読まれるか、この本の翻訳者である小田理一郎さんのチェンジ・エージェント社のサイトに詳しいのでこちらをご覧下さい
→ チェンジ・エージェント社の行動探求のページ
スタッフさんとの行動探求セッション
今月も、12月の行動探求セッションがスタッフさんと始まりました
そのとき、新梅田食道街 たこ梅 北店の前保さんがお客さんとのできごとをテーマに持ってきてくれました
※今回、前保さんが自分の事例を公開してもいいと言ってくれたので、このブログで取り上げて紹介します
セッションでは、そのお客さんとの会話、そして、そのときに自分が思ったこと、感じたことを書いた「会話のふりかえりシート」を使います
このときの会話のふりかえりシートを見ると、お一人で年配のお客さまがお店に入ってこられました
店内はカウンターだけで通路も人が通るのがギリギリくらいの感じです
カバンをお持ちだったので、前保さんは、他のお客さんと同じように「カバンを後ろの棚において下さい」と声をかけたのです
すると、その年配客さんは「なんでや!勝手に置くわ!!」と不機嫌そうに声を荒げておっしゃり、カバンをおかれました
ただ、その後は、特に笑顔と言うわけでもありませんが、普通に注文し召し上がってお帰りになりました
不都合・不愉快な出来事から紐解く
前保さんからすると、いつもと同じように声をかけたのに、不機嫌に声を荒げられたのがイラッとするし、変わった人だなぁ?と思うものの釈然としないモヤモヤが続いています
「難しい会話のマトリックス」シート
これを紐解くために学習経路の6グリッド「難しい会話のマトリックス」シートを使います
まず、今回の出来事において、そうなってないけど、こうなっていたら良かった!こうなるようにしたい!という「望ましい状態の結果」を考えて欄を埋めます
今回は、「カバンを後ろに置いて下さいと言ったとき、素直に置いてくれる」に設定しました
世間では改善行動までしか取り扱えない
次ぎに、実際に起こった結果、そのときに取った行動の順に欄を埋めていきます
世間で言う「改善」だと、ここから、行動を変更すべきと考えて「改善行動」を取ります
この場合だったら、「すぐに、『すみません』と謝る」「お荷物は後ろに置いて下さいというお知らせを書くようにして直接話さない」などの行動をとればいいのではないかと考えます
世間では、一般的に改善行動までしか取り扱わないし取り扱えません
そもそも、その向こう、奥にあるものに気づいていないからです
枠組み(意識・無意識の前提、構造)を探求
行動探求(アクション・インクワイアリー)では、どんな枠組み(意識・無意識の前提や構造)がそれを起こしているのかを探求します
今回、実際に起こったことから見つけた枠組みとして
・お客さまには親切にすべきだ
・優しさ、丁寧が前提
・フツーに言ったことは聞き入れるべきだ
が出てきました
そこでさらに対話する中で、前保さんは、「そっか、このフツーは私のフツーか!」そして「色々なフツーがある」と気づきます
言い換えると「色々なフツーがある」という新たな枠組みがあることを知りました
望ましい枠組みにシフトする
あくまで行動探求(アクション・インクワイアリー)は自分の中にある枠組みに気付き、それをシフトすることで望ましい結果に行くものです
この段階では、確かに「色々なフツーがある」という新たな枠組みに気づきましたが、まだ、シフトするところまでいきません
ここから、そのお客さんの気持ちをたぐっていきました
いろいろ話ながら、ひょっとしたら「こんな小娘にいわれる筋合いはないわ!」的な感情がお客さんにあったのではないかと思い当たったのです
前保さんは私より年上ですが、このお客さんより10歳も若ければ十分「小娘」でしょうから、、、
そして、ここからさらに気づくことになります
「色々なフツーがある」のがわかって、そして、このお客さんが「こんな小娘にいわれる筋合いはないわ!」というのは、そこに何があるのか?
これを探求するうち、「カバンを後ろの棚において下さい」というのがそのお客さんには指示や命令に聞こえていたのではないかと言うことです
そして、そこで声を荒げられたのは、おそらくご本人も気づいておられないと思いますが、「選択の自由」が奪われたように感じたからだろう、、、と思い至ったのです
すると、新たな枠組みは「色々なフツーがある」からさらに進化して、「相手に選択(の自由)をゆだねる」に到達しました
望ましい行動
そして、このとき、自然と望ましい行動が出てきました
それは、同じことのように見えますが、「カバンを後ろの棚において下さい」ではなく「カバンを後ろの棚においてもらっていいですか?」と選択権を相手にゆだねる行動です
ほんのわずかな違いですが、これが、人は恐いのです
カバンを後ろに置いて欲しいが、「おいてもらっていいですか?」と相手に選択権があるいい方をして拒絶されたらどうしよう、、、と本能的にこういったいい方を避けて、丁寧に優しく言ったとしても「後ろに置いてくださいね」になってしまいがちです
相手に選択権をゆだねるというのは、そうであってもいいし、そうでなくてもいい、いずれも私は引き受けますという態度です
前保さんは、年配のお客さんが声を荒げてくれたおかげで、ここに到達できたのです
というか、当初、不愉快に感じた出来事は前保さんにこの世界を教えたがっていたのだろうと思います
これからも、不都合、不愉快な出来事が何を教えたがっているのか?を紐解きながら行動探求(アクション・インクワイアリー)をスタッフさんと続けていきます
スタッフさんの成長、発達のために、、、
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